Netdayは、米国シリコンバレー地域にあるコンピュータ会社に勤務する一人
の技術者の素朴な疑問からスタートしました。「スマートスクール・ネットデ
イ」を経て、クリントン政権による「ナショナル・ネットデイ」として全米へ
と拡大ました。最初のナショナル・ネットデイでは、全米各地の約3000校の学
校が参加し、ボランティア10万人以上がインターネットの配線工事を行いまし
た。こうして地域のボランティアが活躍するNetdayのおかげで、95年当時僅か
12%程度だった全米の情報化率は、現在では79%に達するまでに向上し、シリ
コンバレー地域では87%の学校、75%の教室がインターネットに接続されると
いう成果を上げています。 日本政府は、2002年度までにすべての小中高校にインターネットを引き込む ことも決定していますが、その整備内容についてはきちんと固まっておらず、 利用方法についても暗中模索の状況です。2006年度までに全学校の全教室をイ ンターネット接続するという計画も公表されてはいますが、「教育の平等」を 掲げ、一括整備を目指す地方の教育行政が、その広範な拡大を阻害していると 思われます。そこで、文部省は「新しい学習環境の整備に関する調査研究委員会 〜ネットデイで実現する校内LAN〜」を設置し「PTAやボランティア団体と連携し て、ネットデイなどによる校内LAN構築の促進を図ろうとしています。」 また、2003年から小学校に本格導入される「総合的な学習の時間」は、各校 独自で授業が設定できるので、コンピュータを活用した独自の授業の展開も期 待されていますが、それを支える教師のスキルアップはなかなか進んでいない のが現状です。 「ボランティアが中心になって学校のネットワーク利用環境の構築を支援す る活動」であるNetdayは、日本ではまだ米国のように政府の後押しを受けたも のではありません。「子どもたちにインターネットを使わせたい」「授業でイ ンターネットを活用したい」と願う先生や保護者が、それぞれの地域で力を合 わせてこつこつと積み上げてきた運動です。1996年頃、やむにやまれぬ事情か ら手探りで実施されてきた日本でのネットデイは、福島県、群馬県、千葉県、 富山県、新潟県、愛知県、兵庫県、高知県、などを始めとする各地で開催され、 今静かに広がりつつあります。 鳥取県では、2000年3月に県内で初めてのNetdayが赤碕小学校に於いて開催さ れ、その活動は始まったばかりです。 Netdayの効果は、単に「インターネット接続による教育現場の情報化普及」 にとどまるのではなく、ボランティアが教育現場とのネットワークを持つこと により、情報化教育への技術的アドバイザーとなり得たことや、教育現場が自 前でネットワークを管理しようという意識が芽生えたこと、そしてそれまで以 上に、学校と地域住民を身近な存在に近づけたことなどがあります。また、子 供たちが自由にインターネットに触れあえる環境を提供することにより、その 興味や個性をのびのびと育成することができ、このような「将来の地域経済の 担い手」である人材を育てることは、そのまま地域経済の底上げと活性化に直 結する効果を生んでくることとなります。 |